『ぼくの住まい論』より

著者:内田樹(うちだ たつる)

「人間は弱い」というのがぼくの(内田樹)人間観の根本なんです。

だから、最優先の仕事はどうやってその弱い人間を慰め、癒し、支援する場を安定的に確保するか、です。

「家」は何よりもまず「集団内でいちばん弱いメンバー」のためのものであるべきだとぼくは思います。

幼児や妊婦や病人や老人が「そこでならほっと安心できる場所」であるように家は設計されなければいけない。

家は、メンバーのポテンシャシャルを高めたり、競争に勝つために鍛えたりするための場じゃない。

そういう機会なら家の外にいくらでもある。

家というのは、外に出て、傷つき、力尽き、壊れてしまったメンバーがその傷をいやして、

また外へ出て行く元気を回復するための備えの場であうばきだとぼくは思っています。

「おかえり」という言葉がいつでも用意されている場であるべきだと思っています。

でも、現代の家族集団は必ずしもそうはなっていない。

むしろ、メンバーの中でいちばん活動的で力の強い人間を基準に制度設計されている。

弱いメンバーは他の強いメンバーからは「自己実現の妨害者」「足手まとい」という見方をされる。

社会保障は国家予算の半分近くを占めていて、育児支援とか老人介護とかを

行政が必死で手当てしないとどうにもならなくなっているのは、

福祉システムの制度設計が間違っているというより以前に、

今の家が弱者ベースで作られていないからだとぼくは思います。

人々はそれよりはむしろ「強者連合」をめざしている。

階層が同じ、学歴が同じ、趣味嗜好が同じものが群れる傾向がある。

その方が快適だから。そりゃ、快適でしょう。

郊外の高級住宅地でも、都心の超高層マンションでも、同一の階層集団が集まて、

貧しい人や、「よそもの」を排除しようとする。

でも、ぼくはそういう閉じられた共同体というのは、どこか本質的に間違っていると思う。

強者を基準にして、あるいは強者になることを目標にして社会制度を設定すべきではない。

それはどこか人間的じゃない。

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